愛媛・しまなみ街道筋で進むEM技術による海岸の浄化
〜大三島の上浦町に続き、上島町の四島でも次々と海岸を浄化中〜
「やってみーもしないで、『EMは効くか?』なんて聞くなよ!」
−視察先・上浦小学校での生徒たちの言葉が「本気で取り組む契機に」−  

 愛媛県は、北と西に瀬戸内海、南と東に四国山脈を持つ風光明媚な地である。1999年に開通した本州四国連絡橋「しまなみ街道(尾道〜今治ルート)」は、瀬戸内海に浮かぶ美しい島々を連絡橋で結び、自然と現代技術が調和した新たな観光名所となりつつある。この瀬戸内海は、東に鳴門海峡、西に下関海峡、南に豊後水道があるため、外海との海水の出入りが遅く、干満の差が大きい。古くは村上水軍が、この潮の流れを熟知してこの地を制覇したといわれている。そして現在では、強い潮の流れがあって汚れるはずのない瀬戸内の海が、生活排水や工場廃水で汚染され、豊富だった海からの恵みが失われている。こうした問題をEM技術で解決しようとする動きが、愛媛県下でも活発になっている。

−活性液を干潮時に海岸のヘドロに注入−
 愛媛県上島町(人口8千人)では、NPO「ゆげ・夢ランドの会」(村瀬忍会長、会員450名)が<島にアサリの復活を>スローガンに、平成15年3月からEM技術による海岸浄化に取り組んでいる。既に、ヘドロを解消、アサリ、立貝、穴蛸などを復活させ、地域の住民や行政から注目されている。
愛媛県上島町で弓削島、生名島など海岸浄化に取り組むNPO「ゆげ・夢ランドの会」のみなさん                        
愛媛県上島町で弓削島、生名島など海岸浄化に取り組む
NPO「ゆげ・夢ランドの会」のみなさん
 同NPOは、今治城お濠の浄化で実績を上げている小田満さん(写真上段左参照)の指導を受け、良質のEM活性液の製造に心血を注ぎ、活性液は干潮時にヘドロの堆積する海岸に直接注入している。また、ヘドロの堆積層が深い場合は耕運機で掘り起こして活性液を注入している(村瀬会長談)。更に、各地区の代表者や学校を中心とした作業グループを結成し、EM団子の製造・投入を継続している。平成19年8月における月間投入量は、活性液約10トン、団子約12,000個。

−拡大する浄化活動−
 同NPOの活動地域は、当初の2箇所から8地区・10箇所に増え、浄化参加希望地域が相次いでいる(同会長)という。
 NPOの構成員は、元会社社長・船長・技士長・学校長など多士済々なシニア層で、培養装置の自家製造、活性液の培養、各地区への軽トラによる配送、作業指導、EMによる菜園作りなどの活動を、みな元気で、愉快に展開している。
 NPO会員(入会金、千円)には、EM活性液を無料配布し家庭での活用を促している。また、浄化活動の様子や改善状況を毎月の活動予定表とともにバス停、集会所など町内20箇所に掲示して住民意識の盛り上げを図っている。
 こうしたNPOの活動は、隣接する旧上浦町(現今張市)に続く、しまなみ街道筋の環境改善活動として注目されており、行政からの補助金も年々増額されている(同会長)という。



「地域を流れる身近なドブ川を、魚の泳ぐ川に取り戻そう!」
〜松山市で主婦たちがNPOを設立し、EM技術で浄化活動を開始〜
 愛媛県松山市(人口51万人)では、主婦たちが平成15年にNPO明神川を美しくする会(三浦和子代表、会員30名)を立ち上げ、同市和気町と堀江町の境を流れ、堀江海水浴場に注ぐ明神川の浄化に取り組んでいる。同明神川は、川沿いの住宅排水や中小食品加工工場の廃水などが原因で悪臭を放つドブ川となっていた。既に上流域では、稚魚が沢山生息する状態までに水質が改善している。
手作りのEM 培養装置小屋で、左から三浦代表、牟田口さん、辻田さん
手作りのEM 培養装置小屋で、左から三浦代表、
牟田口さん、辻田さん


−活動助成金でEM培養装置を設置−
 同NPOは、ごみ拾い、草刈り、水質調査などの地道な活動を積み重ね、平成18年にEM培養装置(1トンタンク6基)を上流域に設置。平成19年4月には、タンクを覆う家屋を手作りで完成し、本格的なEM技術による水質浄化活動を開始している。また、近隣小学校のプールを米の研ぎ汁EM発酵液で清掃する活動や、幼稚園児とのEM団子づくり、廃油石鹸づくり、家庭から出る生ごみのリサイクルなども手掛けている。更に、同川の上流域で、ほたるを放流する計画を立てるなど、徐々に活動範囲を拡大している。

−食品工場の協力が必要−
 こうしたNPOの活発な活動にも拘らず、近くの食品加工工場から排出される汚水の影響が大きく、明神川下流域の水質改善は一進一退(同代表)。「1日50トン未満の廃水であれば浄化装置をつけなくとも良い」という水質汚濁防止法があるため行政が容易に工場廃水を規制できないため(同三浦代表)という。因みに、今夏(8月1日)には、鯉が死滅する事態も発生(同NPOのブログから)している。
 <魚が泳ぐ川>を取り戻すためには、行政や企業の更なる協力が、強く望まれている。

−今治城ではお濠の浄化活動を再開−
 NPO瀬戸内海蘇生交流会・えひめ(今治市、小田満会長)は、今治城が築城400年記念改修工事を終え、城内見学者が多数訪れる平成19年11月までに、お壕を綺麗にしようと、中断していた浄化活動を再開したい(同会長)という。
 同NPOは、平成11年からEM技術による浄化計画を進め、12〜13年の浄化活動でヘドロを半減させるなど大きな成果を上げていたが、お城の改修工事に伴い浄化活動を中断していた。お濠には、工場廃水により汚染された今治港の海水が出入りしており、浄化活動の中断によるヘドロへの影響が懸念され、活動再開による改善効果に期待が寄せられている。

−障害者の自立・就労支援にもEM技術を活用−
 障害者の自立訓練・支援センター「アルムの里」(愛媛県伊予郡砥部町、アトムグループ)では、同センター内に、EM培養装置(百倍利器2基)と生ごみリサイクル装置(蘇生利器1基)を設置し、グループが持つ保育園、病院、介護老人施設、知的障害者施設の清掃管理や、施設利用者の介護サービスなどに、EM技術を積極的に活用している。
 平成19年5月に開設した「アルムの里」でも、農を通じた障害者の自立支援を図るため、近隣の荒地を開墾し、EM活性液とEM発酵の生ごみを活用しカボチャ・ナス・サツマイモ栽培や、みかん類の柑橘栽培を進めている。同活動は、障害者自立・支援に加え、日本農業の復興も目指しており、今後の展開が注目されている。



できることからすすめる「東京都国分寺市での環境改善」
 東京都国分寺市の星野豊さん(U-ネット技術委員・元EM研究機構特別研究員)は、EM活性液を自宅の生ゴミ処理や、農業・池や川の浄化・生物の多様性をめざして活用している。
 環境問題は、"ライフスタイルの見直し・意識改革"と"行動を起こすことが大切"をモットーに、市の農業大学講習会や研修制度に参加。「環境ひろば」の運営委員として市の環境政策の実践に務めるとともに、微生物の働きを理解してもらう活動と「EM技術による環境改善」を粘り強く進めている。

−東京都国分寺市の市民農業大学の研修農場でEM農法の試み−
 市役所の経済課とJAとで運営されている市民農業大学の第15回(2006年12月)講習会に、生徒として参加した星野さん。慣行農法の弊害と有機農法の利点を問い続けた結果、卒業生(40名)の約半数が、週3回集まる第二農場でEM有機農法を希望し、有機農法の試みが星野さんの指導で始まった。
星野豊さん(左上)と第二農場の研修生のみなさん
星野豊さん(左上)と第二農場の研修生のみなさん
 462平方メートルほどの農場で減農薬・慣行農法が行われ、その10分の1でEM農法を行なっている。6月半ばごろには、減農薬・慣行農法のトマト、ナス、キュウリは、10日に一回の割合で農薬が散布され即効性の化学肥料により、成長・収穫が早く多く取れていた。しかしEM農法では、有機資材の量やEM生ごみ堆肥を投入してからの植え付けが遅れたため、収量は少ないが、無農薬で味の濃いものが取れている。
 従来のやり方に囚われない考え方を促すために、星野さんは間引きした大根、トウモロコシを育てている。慣行農法では約3割に根割れが起こったので、EM農法で根割れが起こらなければEM農法の良さを強調できると星野さんは収穫を楽しみにしている。
 また、病気になった作物の残渣や雑草を畑の隅に穴を掘り、ボカシやEM活性液を投入し、肥料になることを実証している。
 第二農場の研修生班長の岡田さんは、有機栽培を成功させ、形も味も良い作物を取れるようにして直売所をやりたいと夢を語る。

−池の浄化−
 窪東公園棲息池に2005年から、EM活性液を約6〜12リットル/月投入した結果、ドブ臭やヘドロが減少し、生物の多様性が増した。池には、ザリガニ、クチボソ、フナ、クロメダカ、ヌマエビ、カワニナ、カエル、雨の日にはサギ、カルガモも見られるようになり、家族づれでザリガニをとる姿が多くなった。心配は、餌を入れた捕獲器が使われ魚やエビが捕獲されていることだ。
 野川の源流である「姿見の池」に注ぐ水路にもEM活性液を8〜16リットル/月投入し、姿見の池から野川→多摩川→東京湾の浄化が可能であることを説明。増殖力の早い微生物が四六時中働き、生活によって汚染された場を浄化している話を行いながら進めている。水路や池にはクチボソ、メダカ、エビ、ドジョウ、トンボなどが見られる。姿見の池は、エビなどが生息する藍藻の固まりが浮き上がり景観は良くないが、小魚やエビが多くなったためカワセミ、サギが来るようになった。また、「緑と自然を育てる会」に入り、清掃・除草、植物の補植などを手伝っている。祭日には、カワセミのファンが大勢集まり、水に飛び込むところを写真に取れるようにと、撮影用のクイも池に打たれている。

−地域で広がるEM施用−
 平成17年4月に、国分寺市内の実証モデルとして農家にEMの説明を行った。佐藤園で堆肥として利用されていない病害作物残渣や雑草の堆肥化実験を始め、12月には出来た堆肥をサトイモ畑に入れた。翌年9月には通常より1ヶ月以上早く収穫できた。秋に落ち葉を集め米ぬかと活性液を散布し発酵させ、春に畑に施用する方法を続けている。
 国分寺市では農家(地主)の協力により、樹林地を拡大し環境保全に努めている。踏み固められた生活路や木の根元をフカフカにし、武蔵野の里山と植物を復元したいという「エックス山等市民協議会」のメンバーとして、支援要請にも応え、星野さんはEMの培養の仕方や使い方を教えている。
 また、東京都の自然再生事業の一環として、生物の保全・多様性を増し子供達に水田・湿地で遊んでもらおうという小金井"田んぼ部会"では、「冬季湛水+不耕起移植栽培+無農薬・無化学肥料」が取り決められ、EMの施用を水田で実施している。稲を育てること自体は目的でないが、EM施用にて生物の多様性を促進させ、おまけに稲が良く育てば、なお良い。
 国分寺市に移住してから3年。星野さんは市民と行政(環境課)による「環境ひろば」の運営委員・副代表や環境審議会委員として「姿見の池整備計画」の中に「有用微生物で環境浄化を進める」という文言を入れ、できることから実践してEMを勧めている。



継続は力なり 〜NPO EM・エコ郡山の活動〜
 福島県の中央に位置し、北には、奥羽山脈の安達太良山を望み、東は阿武隈山系と豊かな景観の街、郡山市で活動中のNPO EM・エコ郡山(武藤信義理事長)。郡山市内を流れる南川・亀田川本宮市の安達太良川の3河川の水質浄化活動をはじめ、郡山市内の小中学校に環境学習を行い、プール清掃を普及させており、発泡スチロールの容器内に蛍光灯を入れた「EM活性液培養ボックス(特許取得)」を70校に寄贈している。郡山市内小中学校85校中半数以上の43校でプール清掃を実施され、その他にも本宮市で9校、伊達市で2校、鏡石町で3校、須賀川市で1校、飯坂町で1校、大玉村で2校と合計で60校を超える学校で実施している。今後、福島県南部一帯で益々実施校が増えるのではないかと期待が膨らむ。

−繋がる河川浄化と生ゴミ堆肥化−
 郡山の中心を流れる南川の浄化では、川のほとりに自宅があるEM・エコ郡山の会員である木村敏夫さんが、裏庭に500リットルタンクを設置し、できあがった活性液をタンクからホースを引っ張り、放流している。また、自宅の浄化水槽にもEMを活用しており、蓋をあけても臭いがなく、衛生業者も驚くほどである。
 下流の南川渓谷は、数年前までは粗大ゴミが不法投棄され、人が全く寄りつかないような場所だった。それが今では鴨が水辺を泳ぎ、魚が群れをなし、川辺の遊歩道では、住民が散歩や、ジョギングを楽しみ、街のオアシスになっている。
 盲学校の生徒がここを訪れた時、生徒の皆さんが「臭くない」と言っていたのが何よりも嬉しかったとのこと。
 百倍利器と1トンタンク2基を敷地内に設置している酪王牛乳(福島県酪農業協同組合)でも、引き続き、活性液の製造に協力、河川浄化に一役買っていただいている。
 また、伊達市の「エコクラブだて」に、蘇生利器を無償貸与し、給食センターの野菜屑を生ゴミ堆肥にし、循環型農業を目指している。
 公民館で行われる「生ゴミ堆肥化」講座も好評で、定員を越える人数の参加があり、地域住民のEMへの関心の高さをあらためて感じることができた。
 8月に入り、中田町海老根地区環境保存会が、約110世帯にEM活性液を無料提供することになり配布を完了した。この無料提供は、毎月1回1リットル、5年間実施する計画である。

−活動に感謝状を−
 EMエコ郡山では、平成17年11月に社会福祉法人福島県社会福祉協議会より長年にわたるボランティア活動を評価され、感謝状を贈られた。これを受けて、法人設立5周年記念事業として、今年3月に河川浄化活動に協力いただいている県酪農業協同組合、大東銀行、東北電力郡山営業所、大和ハウス工業福島支店、たらちねの五事業所に感謝状を贈った。
 これらの活動の様子は、地元新聞各社や郡山の地域情報誌にも多数取り上げられ、地域に根づいた活動を展開しており、地域の認知度も着実に高まっている。
 NPO法人として設立されてわずか5年ほどで、補助金や助成金での運営から、会費や資材販売の売上による運営への切り替えに成功し、自立したNPO法人として事業がすすめられている。武藤さんは「同じことを継続的にやってきただけ。」と謙遜されていたが、会員の皆さんとの緊密な連携で、着実に活動が進歩しており、これからも発展していくことを期待したい。
武藤U- ネット福島地区委員と奥様(NPO EM・エコ郡山理事長)
武藤U- ネット福島地区委員と奥様
(NPO EM・エコ郡山理事長)




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