兵庫県全域に広がるEM技術活用による環境改善
〜北部地域ではコウノトリ育む農法に、南部地域では海岸浄化等に活用〜
 兵庫県は、瀬戸内側から山間部を経て日本海側に至る淡路、摂津、播磨、丹波、但馬の5地域からなり、神戸市を中心に南部地域の発展が目覚しい。一方、北部地域は山間部が多く自然条件も厳しいため発展が遅れ、新たな活性化策の実施が課題となっていた。こうした中、昭和46年に絶滅した県鳥・コウノトリをキーワードに、「コウノトリ育む農法」をテーマとした「豊かな自然の回復と地域おこし」が平成14年から活発に進められ、自然の再生、特産品の産出、観光客の増大など大きな効果が出ている。

新西宮ヨットハーバーではEM技術による浄化活動を展開  
−南芦屋浜ヨットハーバー浄化実験が契機−
 新西宮ヨットハーバー(株)では、平成19年6月からハーバー内の悪臭対策と透視度アップの為、(株)拓未産業(萬谷正樹代表、U-ネット運営委員)に委託し、EM技術活用による水質浄化活動を開始している。これは、平成17年5月〜11月実施された南芦屋浜ヨットハーバーでのEM技術による水質浄化実験を参考として実施に踏み切ったもの。南芦屋浜での実験が同ハーバーの改修工事など諸般の事情により短期間で打ち切りとなった経緯もあり(詳細U-ネット通信2006年1月・38号参照)、今後3年程度の浄化活動の継続が期待されている。

−近隣の小学生も浄化活動に参加−
 同ハーバーは、<太平洋ひとりぼっちのヨット横断>で有名になった堀江謙一さんが昭和39年に出帆した港。今は、幅900m沖へ300mの日本国内最大級のヨットハーバーで、阪神電鉄西宮駅JR西ノ宮駅からも近く人気のヨットハーバーとなっている。

ヨットハーバー浄化のためEM団子を投入する子供たち
(同ハーバーは堀江謙一さんが太平洋単独横断に出発した港)
 浄化活動は、中央桟橋の左端と右端に設置した2基のEM培養装置を使って活性液を培養し月に2回(4t)を投入している。更に、EM団子も年間8,000個を投入している。このEM団子は、U-ネット奈良(後藤和子代表)の協力を得てつくり、投入作業は、西宮市在住U-ネット会員小田浩子さんや魚水市議、川西市の教育委員会(太田さん、坂井さん)の協力を得て、近隣小学生の手で投入するなど萬谷代表を中心とした協力体制を築いている。

「コウノトリ育む農法」の実践にEM技術を活用
〜兵庫県豊岡農業改良普及センターと関連実施団体が取り組む〜
 松の木の梢に棲み人間の赤ん坊を運んでくるという伝説の鳥・コウノトリは、日本における特別天然記念物として指定を受けていながら、松の立ち枯れ、エサの激減、農薬の鳥体内凝縮などにより、国内最後の生息地である兵庫県但馬地方で昭和46年に絶滅。その後、昭和60年に海外から取り寄せたコウノトリの長期にわたる飼育努力により、平成14年には100羽を超える飼育に成功。平成17年9月には、野生化訓練を経たコウノトリ5羽が自然の野に放鳥された。こうした中、関係者たちは、コウノトリを自然環境と経済が共鳴するシンボルとして捉え、「コウノトリ育む農法」の展開に取り組んでいる。

−除草剤・化学肥料を使わない農業−
 兵庫県の但馬県民局地域振興部豊岡農業改良普及センター(大原博幸所長)では、「コウノトリ育む農法」の推進計画を平成14年に作成し、コウノトリと共生する農業として、減農薬・無化学肥料栽培試験を開始している。その後も水田の自然再生事業として「有機栽培の促進」「常時冠水」「ビオトープの設置」など数々の施策を実行している。

−NHKによる「コウノトリの郷」放映−
 平成15年頃から、コウノトリの飼育と野生化訓練に取り組む関係者の様子が度々テレビで紹介されたが、とりわけ、農薬を使わない農法と雑草対策について、関係者の努力が注目の的となっていた。この様子をテレビで見ていた福岡県八女市在住のU-ネット会員(山下寛治さん)は、自分が実践している農薬も化学肥料も全く使用しないEM技術の活用による栽培方法が、自然再生に取り組む関係者の尊い活動に立つのではないか、と考え豊岡農業改良普及センターと連絡を取った(山下さん談)。その後、同センターと豊岡エコファーマーズが平成16年に山下さんを豊岡市に招き、合宿研修会や試験栽培などを実施し、EM技術の活用に取り組んでいる(同センター西村いつきさん)。

−画期的な「コウノトリ育む農法」−
 同農法は、「おいしいお米と多様な生きものを育み、コウノトリも棲める豊かな文化、地域、環境づくりを目指すための農法」と定義している(同農法パンフから)。また、同農法の要件として、環境配慮、水管理、資源循環、ブランド作りなどについて、具体的な対策と関係者の取り組み目標を明確にして関係者同士の協力体制の構築が容易に出来るよう配慮している。例えば、環境配慮の項目では、無農薬タイプ、減農薬タイプ別の作業標準を明確にしている。
 こうした施策の結果、稲作面積約157haのうち、減農薬による栽培面積40ha、EM技術等活用による完全無農薬栽培面積20haとなっており、無農薬栽培は年々拡大している(同センター大原所長、西村さん)という。

−EM技術で本物の農産物を提供したい
 研究・実践の積み重ねがEM技術向上の要諦−

 エコ・ファーム中嶋(兵庫県豊岡市出石)では、安心安全な農産物づくりを目標に、豚のエサに、オカラなど10種以上の食品残渣とEMボカシを加えて育て、「豊熟豚」「長寿の豚」銘柄でハム・ベ
ーコン・焼き豚を製造販売している。何れも、安全飼料で、大変味が良いと、消費者から好評を得ている。  代表の中嶋彰範さん(U-ネット技術委員)は養豚の他、食品製造・加工の工程から排出される不要品を積極的に活用し、EM技術で発酵させて良質のEM活性液、EMぼかし、EM堆肥、EM石鹸、EM化粧水などの独自製品を作っている。例えば、EM堆肥造りには、無洗米製造過程から出る米粉、チーズ加工工程から出る切端を活用した濃縮堆肥をつくり、EM石鹸造りには不要となったラードを活用している。
 最近は、岡山大学の環境工学科を卒業して故郷に戻った長男敏博さんを加え、EM技術のより一層の向上と無農薬農業の普及に取り組んでいる。



熊野古道が繋ぐEMの輪
 世界遺産の熊野古道を背にし、熊野灘が広がる三重県南部地区。山と海の恵みに育まれた穏やかな地域で広範囲に活動中の三重県紀北町海山区の山路誠二さん(U-ネット技術委員、紀州EMひろば)を訪ねた。

−災害から3年−
 三重県旧海山町といえば、平成16年9月29日台風21号の影響で川の濁流が堤防を越え、全4,000世帯のうち床上浸水1,700世帯、床下浸水120世帯に、EM散布が悪臭抑制に活躍したのは、記憶に新しい。
 紀北町議長の尾上壽一さんと奥様は、当時を振り返り、「この家もあと10数cmで1階の天井というところまで浸水した。昼間の増水だったが、夜間ならもっと大惨事になっていた。大変な災害だったが、地域住民の連帯感が生まれました。」と語った。

−尾鷲・熊野で広がる浄化の輪−
 隣の尾鷲市にある「紀北広域連合紀北作業所向井分場」(上野寛人分場長)では、指導員の仲村洋人さんが中心となり百倍利器2基がフル稼働でEM活性液を製造、冬場は製造が間に合わないほど。糖蜜を3%と少し多めに入れているが、できた活性液をしばらく置いておくと赤くなり、光合成細菌が増えている。週に1回配達をしているが、直接購入に来る人もいて、作業所と地域住民の交流にも一役買っている。この活性液は海山の災害でも活躍している。
 熊野市の紀南ひかり園(市谷純恵園長)では、2年半前から植村課長が中心となり、百倍利器で活性液を培養し、販売をしている。熊野市役所でもEM液を販売しているが、園の活性液の売上が上がれば、熊野市全体の環境がよくなると行政もサポートしている。ペットボトル容器は市のリサイクル場から取り寄せ、ヤスリで様々なマークが入った蓋を磨き、白い蓋に統一しているので清潔感があると市民からも評判がよく、遠方から買いに来る方もいる。
左から石川U-ネット東海地区リーダー、紀南ひかり園植村課長、熊野市役所大江係長、山路U-ネット技術委員、(有)EMめぐみ加藤取締役
左から石川U-ネット東海地区リーダー、
紀南ひかり園植村課長、
熊野市役所大江係長主幹、
山路U-ネット技術委員、
(有)EMめぐみ加藤取締役
 また、市内にある6社の衛生業者のうち、3社が園の活性液を使用し、家庭にも利用を勧めている。現在は水道水で活性液を作っているが、山水や井戸水でもっと質をよくしたいと意欲的である。
 JR熊野市駅の裏に流れる古城川は、周辺の生活排水の流入で、駅のホームにまで悪臭が漂っていたため、今年3月から紀南ひかり園で製造したEM団子を3カ所に投入、さらに上流から活性液を1t投入したところ、臭いが消えてきた。「上流のEM団子の投入場所に捨てられていた太刀魚が2ヶ月腐らず漂っていて、抗酸化力の強さに驚いた」と山路さん談。今後も継続して投入を計画中。
 また、今年7月からはロータリークラブの依頼で、山崎運動公園の脇の排水路の浄化を開始。活性液を600L/月、EM団子を500個/月投入する計画で、近隣の飲食店にも協力を得ながら行っている。雨水と生活排水が流入し、排水路が油膜でべったりしていたが、開始1ヶ月で少なくなってきた。
 紀南ひかり園は、活躍の場をどんどん広げている。

−EMでクリーニング−
 古城川が合流する井戸川の畔「クリーニング第一」の金本俊明さんは、環境負荷が軽減するのではとEMの活用でクリーニングを始めたところ、ボイラーの熱効率がよくなり、蒸気もべたつかず、年1回の機械の掃除も忘れるほどで、何十種類もあった薬剤が、2〜3種で済み、使用量も格段に減り、以前より簡単に汚れが落ちている。お客さんにも、家庭の洗濯機での合成洗剤の使用量が減るよう、柔軟剤ではなく、活性液の利用を勧め、売れ行きも好調である。
 また、井戸川では臭いのある藻がなくなり、水もきれいになり、鯉も店の排水に寄って来ている。

−良質の完熟ボカシと農業体験塾−
 紀伊長島のEMめぐみが製造するめぐみボカシは、1年半寝かせた完熟?型ボカシをペレット化したもので、光合成細菌が多いのが特徴で、抗酸化力が高く、評判が良い。めぐみボカシは紀南ひかり園のEM団子にも利用され浄化活動にも欠かせない。
 取締役の加藤雄也さんは、自然農法で健康野菜栽培を普及させたいと今年5月牟婁農業塾を立ち上げた。今は学校給食の残渣を回収し、有機農業に利用しているのだが、将来は作った野菜を学校給食に納入したいと意欲的である。また、この塾では都会の人達に農業体験をする場を提供することも考えている。
 山路さんは、「EMの活動をしていると、必ず協力者が現れる。EMは独り歩きして行くのでついて行くのに一生懸命です。」と語る。EMの求心力、熱意の伝わりやすさが、活動の広がりに繋がっている。



EMは「理美容業界の環境活動の目玉」「生ゴミ処理の完全循環を作る引き金」
〜仕事に活かされるEM・石川県〜
−理美容業界に広がるEM−
 全国3,000店舗の理美容室の経営者が所属する団体SPCJAPAN は、1996年に7名の理美容師が立ち上げた勉強会から始まった。泉崎富子さん(U-ネット会員)は、2003年、地球環境保全部副理事長になりSPC憲章活動の一端に「EMによる環境浄化」を加えて、環境活動を女性中心の活動から会員全体の活動へと発展させた。
泉崎さんとアンジェ(EM配合のシャンプーとヘアトリートメント)を持った息子さん
泉崎さんと
アンジェ(EM配合のシャンプーとヘアトリートメント)
を持った息子さん
 その結果、SPCではEMを配合したシャンプーとヘアートリートメントを製造し、会員理美容室で使用できるようにした。
 また、北陸統括本部にEM培養装置を設置し、200L/月の活性液を希望する全国の会員に送料のみで配布。EMの勉強会を開き、理美容室内での清掃や生活の中でのEM活用を促進している。
 泉崎さんは、地元の白山市の小・中学校、野々市の中学校の環境教育とプール清掃の指導もしている。
 また、自ら経営する美容室では、活性液を散布して空気を爽やかにし、パーマ液やヘアーカラーにセラミックスパウダーを混入し、髪のダメージを少なくしヘアーカラーの色だしを良くしている。EMを理美容の中で使うことにより、良い仕事をするだけでなく、排水への負荷を少なく出来ればと願っている。

−生ゴミ処理の完全循環を確立−
 EMなどを使ったボランティア活動としての生ゴミ処理に限界を感じた北村栄氏(かが市民環境会議会長)は、資源エコロジーリサイクル事業協同組合を立ち上げた。ゴミ収集業者、農家、行政、地域の大学などを巻き込み「地域における有機物の完全な循環の輪」を育て始めたのは2001年。
 まず、効力のある堆肥を作るために生ゴミの40%は魚類とし窒素分を確保。次に、この堆肥で生産された農産物の販売を引き受け、農家が堆肥を使う誘因を固めた。更に、ゴミ運搬車内で生ゴミの粉砕と初期発酵を行い、二次発酵も農地で行う事により、ゴミ処理施設不要で、建設費・維持費や運送費を削減できた。
 既存の生ゴミ収集業者を巻き込んだため、一般廃棄物処分業の認可に問題なく、生ゴミ処理施設を建設しないため中間処理施設の認可も必要ない。ゴミ収集及び処理にかかる費用は、2500万円の処理運搬車1台と運転手兼収集者1名。農産物の回収及び販売先への納入には、連携45農家から2名。全体をコーディネートする北村氏を含め約4名で成り立っている。
 2007年度には、500t収集する(家庭と学校からの生ごみは\55/kg、事業系の生ゴミは\35/kg)。花や野菜の農産物の売り上げは年間約3000万円を見込んでいる。2006年度には、家庭系ごみ量が898t減ったと行政は報告しているという。
 これからは、剪定残渣の処理も手がけたり、連携農家と株式会社の立ち上げを考えたり、更に新しい可能性を探っている。

−EMでグリーストラップのメンテナンス−
 加賀設備(株)では、現在30軒の旅館のグリーストラップをEMでメンテナンスしている。活性液を投入し処理槽でエアレーションを行い、油脂の固形化を防止し、臭気も抑制している。油脂と水に分離して焼却処理していた油脂は、処理費用が以前の4倍にもかさむようになり、レストランや旅館ではEM処理を歓迎している。

−EMで屎尿処堆肥の品質向上−
 小松加賀環境衛生事務組合では、標準脱窒素処理設備で屎尿処理を行い、沈殿汚泥を乾燥し(水分98%を80%に脱水し、更に乾燥機で10%まで下げ)、堆肥化していたが、堆肥の臭気がきつく使ってくれる農家が無かった。
 2001年より、施設内のブロアー配管の熱を利用してEM活性液を3t/週(年間費用約230万円。衛生センターの薬品代金の約12.6%)を作成し、汚泥が沈殿する5箇所にバッチ式で投入を始めた。場内の臭気は軽減し、特に堆肥はほのかな紅茶の香りがするようになった。汚泥と処理水の分離が良くなり、脱色工程のオゾン処理も必要がなくなり、ブロアー風量も減少できたので処理コスト削減になった。
 EM投入で発生汚泥は一時減少(最大約6%)したが、一割以上の削減を達成したいと担当の吉田さんは、励んでいる。



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