漁協主導のもと官民あげて十和田湖再生!
〜EM活性液を湖に投入し生態系が復活〜
 人類存続のため生物の多様性を将来にわたる確保の必要性を国際的に取り決めた「生物の多様性条約」が1993年に締結され、同年日本でも「野生動植物保存法」施行された。さらに、国・地方自治体・企業・国民の責務を明確化した「生物多様性基本法」が2008年5月に国会で可決された。
 このような時代の動向に沿った活動として、青森県十和田地域においてEMの活用で生物の多様性確保につながり、大きな成果をあげている事業活動をU-ネット青森県リーダーである工藤正義氏の案内で訪ねた。

−湖水がきれいになり、ヒメマスが復活−
 青森県・秋田県境の十和田と言えば、東北観光の一大名所、神秘の湖「十和田湖」と紅葉の名所「奥入瀬渓流」で有名だ。食通には、十和田湖特産で絶品の美味しさ「ヒメマス」がある。これらの観光資源は、きれいな水があってこそ成り立つ。
 ところが、十和田湖も全国の湖沼、河川と同じく水質が悪化し、透明度も下がってしまった。こうした環境の悪化は、観光や漁業を生業とする十和田湖周辺の人々にとっては、死活問題で是非とも解決せねばならない一大事だ。

錦秋の十和田湖
 青森・秋田の両県は、こうした事態に対処するため下水道を平成8年に供用開始し、湖水や河川の浄化を進めているが、一度悪化した湖水の水質はこれだけでは、なかなか改善しない。そこで、湖水の浄化とヒメマスの復活を目指して小林義美氏が組合長を務める「十和田湖増殖漁業協同組合」が中心となり、平成13年からEM活用による十和田湖の環境改善事業を始めた。現在、湖周辺7カ所で年間79トンの二次活性液を投入している。これらの費用負担として、恩恵を受ける観光事業の旅館みやげ物屋など72の事業者から協賛金を、十和田湖を行政区域とする秋田県小坂町と十和田市から補助金を受けている。いわば、漁協主導のもと官民あげて十和田湖を再生している。

U-ネット青森県リーダー
工藤正義氏

ヒメマスを両手に十和田湖増殖
漁業協同組合長 小林義美氏

−EM活性液投入で生物が多様化しヒメマス漁獲量が増加−
  EM活性液投入の成果として、投入前ヒメマスの漁獲量は年間2トンと低迷していたが、投入後2〜4年は15〜24トンと急増した。しかし、ここ数年は水産資源の安定確保と生態系保護の観点から禁漁期間の設定や稚魚の放流制限をしている。平成19年は7.5トン、20年は8トンと落ち着いている。
 小林組合長は、年間15トン位の漁獲量が確保できれば十和田湖を訪れる人々に、最高に美味しい十和田湖特産のヒメマスを手ごろな値段で食べてもらえるのに、と言う。それには、行政を含めた関係者みんなでEMによる湖水の浄化を継続し、透明度の高い湖にしていかなければと元気に笑う。
青森県三沢地域でも次世代につながるEM活用
−小魚が泳ぐほど浄化された養鶏場の汚水処理場−
 三沢市郊外にEM活性液で維持管理する養鶏場の汚水処理施設がある。これを運営するのは山端章夫氏が社長を務めるヤマハコーポレーション(有)であり、取引先は地元青森県、隣接する岩手県、北海道と広範囲だ。
 この養鶏場で生産される鶏肉ブロイラーは年に100万羽であるという。ブロイラーは2ヵ月で出荷するので2ヵ月毎に鶏舎内部を水で清掃するが、この鶏糞の混じった汚水の処理が環境問題からますます重要になりつつある。
 現在、鶏舎建設に伴う行政指導において、自然保護団体や周辺住民から周辺環境の保全を保つよう要請され同意書の提出が義務付けられている。これに対応するには汚水処理施設を設置しなければならない。


三沢市の養鶏場汚水処理池をバックに
山端章夫氏(左)と
U-ネット青森県リーダー工藤正義氏
−水質は桁違いに改善−
水質は桁違いに改善 この時代の動きに対応して、山端社長がU-ネット青森県リーダーの工藤正義氏の協力を得て50分の1の模型で実験を重ね、試行錯誤を繰り返し完成させたのがこの三沢市の汚水処理施設だ。処理施設の概要だが、鶏舎清掃時に排出される汚水はまずEM活性液の入った一次処理池に入る、次にやはりEM活性液の入った12の槽から構成する施設に移され、最後に最終処理池に入る。この最終処理池の水質は、処理前汚水のBODは500mgが30mg以下に、大腸菌は70,000MPNが50MPN以下となり桁違いに改善されている。
 事実、この最終処理池にはコイ科の小魚が多数生息し水面には水草が繁茂し、隣を見なければ養鶏場の汚水処理施設とは思えないほど臭いも汚れもない。

−町内会と農業自営グループとの連携で進める有機農業−
 三沢市の隣、おいらせ町に一般家庭から出される生ごみを堆肥化して有機野菜作りを進める農業自営グループ「さくら会」がある。その代表である柏崎幸子さんを下田町農協の直売所「おっほくんひろば」に訪ねた。
 柏崎さんらは、青森県の補助事業「協同で拓く・冬の農業・創造活動事業」に応募し採用された。その補助金を活用しEMバケツなどを購入し、地元の町内会グループで生ごみの資源化を目指す「わかば会」と生ごみの堆肥化で連携している。柏崎さんは同会の40世帯から週1回回収して、EMバケツで処理された生ごみを畑の畝に直接入れている。この有機堆肥で育てた野菜をJAの直売所で販売している。

さくら会代表の柏崎幸子さん
 現在、45アールほどの畑で生産される旬の野菜は、季節に合わせて15種類を超えるほど。柏崎さんは無農薬(減農薬)・有機栽培農産物の生産者に与えられる「エコファーマー」として認定されている。そのシールが貼られた自作の農産物は安全安心で美味しい野菜の証明なので一般野菜価格の1.5倍でも売れる。
 また、柏崎さんたちの熱心な生ごみ堆肥化事業に興味を持った地元、木ノ下小学校の4年生の一人が、この事業を研究テーマに選び夏休みの研究発表作品として提出したところ見事、銀賞に輝いた。さらに県教育研修会で発表することになった。そして地域での資源循環が実現し地産地消を具体化したこの事業を、木ノ下小学校が環境教育授業の一環として取り上げている。これを聞いた柏崎さんはこの事業にやりがいを感じ、会社を定年退職したご主人とともに、さらに事業を発展充実させようと考えている。



出雲市を中心に島根県全域に広がるEM の活用
−EMの継続活用を徹底−
  「環境を考える女性の会」(U-ネット会員錦織さんが代表)では、旧出雲市で36人の女性其々が住む地区でEMを使って小中学校のプール清掃、家事、石鹸作りなどを始めて10年近くになる。錦織さんのEM説明は、継続できるようにとの気配りが詰まっている。まず、(1)米のとぎ汁EM発酵液の作り方使い方を教えると同時にEM資材が購入できるように手配し、活性液を販売して活動資金の足しにする支援法を伝授。(2)1 ヶ月後に再訪問し活性液のでき具合をチェックしEMボカシを教える。さらに折々に(3)地区の主だった活動者を集めて「善循環の輪の集い」地方版を開きEM情報および技術の交換更新に努めている。

−独特な雑草や害虫の予防に−
 3年前に錦織さんからEMを学んだ山崎さんご夫婦は6反歩の畑をEM栽培し、美味しいと評判である。もみ殻+米ヌカ+EM活性液を混合し、2日間空気に触れないように密閉したものを防草剤として置く。その上にもみ殻燻炭を置くと更に防虫効果が大。葉ネギは、3回も収穫できるそうである。

山崎さんのネギ
(左からU-ネット会員錦織さんと周藤さん、山崎さん)


−神西湖から日本海沿岸へ−
 2004年に始まった神西湖の浄化活動(U-ネット通信2004年7月号)の中心は、湖の漁業関係者から湖を囲む小中学校の生徒の手に移り、プール清掃やEM団子の投入が続けられている。EM培養器は地域の漁連女性部に移され、日本海沿岸の岩のり業に使われ、岩場の清掃、沿岸に流れ込む河川の上流から活性液の投入が行われている。

−UターンでEM農業−
 U-ネット通信の編集担当の周藤さんが、2008年春から郷里の島根県太田市(出雲市の西、石見銀山の近く)に戻り、地元とのつながりを深めEM農業の実践を始めた。

−松江市、安来市でもEM利用がすすむ−
 出雲市の東、宍道湖畔では「消費者問題研究会」の田中さんが経営する酒販売店で講習会を開き米のとぎ汁EM発酵液を家庭から流す活動を進めており、湖内の大根島(牡丹と朝鮮ニンジンの産地)では、慶人会(松江の老人グループ)がEM活性液を売りながら家庭からの排水浄化を進めている。

 更に東の安来市では、「EMで自然と生命を育む会」(三好会長)は、市が主催する「EM環境保全推進協議会」の構成団体の一員として安来駅前で有機野菜の販売をしながらEMの説明をしている。協議会の一員「EMエコくらぶ」の山本さんと西村さん等が指導する小学校3校でプランター栽培したEM野菜も一緒に売られている。

ブルーシートに包まれ発酵中の刈り草
 市はEM活性液を無料配布し、市内の小学校15校のプール掃除や、刈り草の堆肥化を2003年から進め年間100m3程処理し、できた堆肥は無料配布している。市民農園では有機農法に限定している。
 また、13集落の242人からなる農事組合法人ファーム宇賀荘(岩崎組合長)は、環境にやさしい農業を推進するなかで無農薬水田では、野坂さんの指導とEM活性液の提供を受け、冬季かん水し、ドジョウを育てている。毎年1,500羽からの白鳥も飛来するようになり、フンは大切な有機肥料となっている。

ドジョウが住み白鳥が飛来する水田の前で(「ファーム宇賀荘」の飯橋さん、「EMで自然と生命を育む会」の野坂さん、「EMエコくらぶ」の西村さんと山本さん、野坂さん、「ファーム宇賀荘」の岩崎組合長と内田さん、U-ネット会員の周藤さん)


−更に広がる−
 活動5年目になる「EM環境保全推進協議会」は、安来市の支援を受けNPOの認証を受ける準備を進めている。また、2009年3月21日(土)には、松江市で比嘉教授を交えて「善循環の輪の集い」が開催される予定である。それを機会に、出雲市の日本海沿岸から東へ展開する海の浄化を鳥取県の漁連女性部につなげたいと錦織さんは楽しみにしている。



琵琶湖の浄化は家庭の排水から
〜琵琶湖周辺で進むEMを使った地道な環境改善活動〜
 日本最大の淡水湖琵琶湖は、「近畿の水がめ」として重要な役割を担っている。ところが、30年前に赤潮の大量発生で問題となった水質の悪化は、多くの人々による改善対策が採られてきたにも拘らず顕著な効果が出ていない(淀川水質協議会の琵琶湖・淀川の水質調査結果から)。
 こうした中、琵琶湖南部の野洲市あやめケ浜では、行政と漁協がEM活性液を大量に培養して投入するなど、EM技術の積極的な活用が始まっている。そこで、今回は琵琶湖中北部地域でのEM活用拡大への取組みをお届けする。

−50回を超えるEM講習会−
 大津市和邇(ワニ)地区では6年前から喫茶&ギャラリー店“るーむブナ(木へんに無)”を会場に、京都EM Love代表の吉彌信子さん(U-ネット近畿地区世話人)を招き、「EM活性液の作り方と活用法」「EM廃油石鹸の効用とつくり方」などのEM講習会を継続して開催している。
 “琵琶湖の水質改善は家庭から”を合言葉に、既に51回開催し、今後も継続されるという。主婦を中心に300人以上が受講しており、家庭での洗濯・風呂の湯・食器洗い・掃除や野菜づくりなどEM活用の輪が広がっている(同店主:西村和代さん談)という。


喫茶&ギャラリー店“るーむブナ(木へんに無)”でのEM活用談義
西村オーナー(右端)と講師の吉彌信子さん(中央)たち

西村オーナー自慢のEMを活用した菜園

−環境基本計画にEM活用盛る!−
 滋賀県高島市(海東英和市長、人口5万4千)では、自然生態系との共存・持続可能な社会の実現を目標に、平成19年7月に行政・市民・事業者の行動マニュアル「高島市環境基本計画」を策定している(詳細は同市のホームページ参照)。
 同基本計画の「第4章 目標達成のための具体的施策」では、循環型社会の実現の施策として有機性資源の活用を掲げ、森林資源の有効活用、廃食油回収再利用の推進に関する定めとともに、EM(有用微生物群)の利用と普及啓発などについて以下の通り明記している。

○ 生ごみ堆肥化推進
生ごみの再活用を推進するために、家庭での有用微生物群などの利用や、学校でのコンポストを使用した環境学習を実施します。

○ 有用微生物群の活用推進
水質浄化などに有効とされる有用微生物群の活用を推進するため、有用微生物に関する情報発信や活用に関する普及啓発を実施します。

−期待される行政の支援強化−
 同市では、予てから市民の提案を積極的に取り上げる行政を展開しており、平成18年には有機資源の活用や水質の浄化を目指した「オーガニックステーションEM」を開設している。同ステーションは、既に、たかしまオーガニック倶楽部(森山美栄子代表)を中心にEMインストラクター養成、EMぼかし製造、EM有機農業の推進などの活動を進めており環境活動・報発信の基地となっている。同市環境基本計画の実行推進役ともなっており、行政による更なる支援強化が期待されている。

オーガニックステーションEM
EMぼかしづくりをするメンバー
企画推進役の寺本マコさん(左端)
同倶楽部代表の森山美栄子さん(中央)
U-ネット近畿地区世話人の吉彌さん(右端)




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