生ごみに続き汚泥の資源化にもEM活用を検討
〜岡山県倉敷市船穂町の生ごみ堆肥化プラントでのEM活用が起点〜
 吉備の国岡山県は、温暖な気候と山海に恵まれ、古来温厚な人材を輩出している。また、大原美術館にみられるように芸術や文化を大切にする伝統を持つ。
 こうした中、環境政策の面でも倉敷市船穂町が平成7年の旧船穂町時代から、他の行政に先駆けてEM活用による美しい山河を守るまちづくりを進めている。更に、焼却や埋め立て処分の対象として厄介ものとなっていた各種汚泥についても資源化・有機堆肥化が大きく前進している。
 その一端を現地リポートでお届けする。
舟運で栄えた倉敷川沿いの商家と倉庫群
舟運で栄えた倉敷川沿いの商家と倉庫群
〜EM浄化が進む高梁川から水流を引き込んでいる〜

−「有機農業推進法」が後押し−
 岡山市環境整備協会では、会員の一部が運営している汚泥堆肥化工場の製品をより質の高い有機肥料として活用できるよう、EMを使った検討が進められている。同協会には、平成17年に市町村合併により退職した旧船穂町の土井博義町長が事務局長に就任しており、永年使用しても重金属被害の心配がない堆肥づくりにEM活用を検討している。                       
U-ネット運営委員(岡山県世話人)の土井博義さん(左)とパートナーの平井芳和さん
U-ネット運営委員(岡山県世話人)の土井博義さん(左)と
パートナーの平井芳和さん
 平成18年末に成立した「有機農業推進法」により有機堆肥の需要が益々拡大するものと予想されており、EMを使った高品質な堆肥製造の実現が期待されている。

−先覚的な旧船穂町のEM堆肥化プラント−
 平成7年建設8年稼動のEM堆肥化プラントは、倉敷市船穂町の農業公社のもとで健全経営を続けており、生ごみの資源化・堆肥化の実現に加え、衛生環境の改善、堆肥を使った有機ブランド特産品の育成(マスカット、ワインなど)、このプラントで働く高齢者の生き甲斐づくりなどに役立っている。また、同事業では集落排水汚泥をEMぼかしで堆肥化する等次世代につなぐ事業を他の行政に先駆けて実施している。
マスカットのEM栽培を進める佐々木博一さん
マスカットのEM栽培を進める佐々木博一さん

特産品づくりと河川浄化を連結したEM活用を展開
−21世紀の環境づくりを進める会−
 岡山県倉敷市西部地区の玉島商工会議所(環境委員会:兼信英雄会長)では、平成11年に提案書「溜川の水質浄化について」をつくり、悪臭とヘドロに悩む“溜川(集水面積15平方km、2級河川)”の改善を訴え、同商工会議所メンバーを中心にNPO「21世紀の環境づくりを進める会(難波貞敏理事長)」を立ち上げ、周辺の清掃や環境整備を進めている。
溜川の流域一帯:マスカット栽培施設(手前斜面)、EM堆肥化プラント(中央)と交通網(後方)
溜川の流域一帯:
マスカット栽培施設(手前斜面)、
EM堆肥化プラント(中央)と交通網(後方)
 溜川一帯は、山陽新幹線・新倉敷駅、山陽自動車道・玉島船穂IC、国道2号線、山陽本線など広域高速交通網が集中した交通の要衝にある。また、同地区(住民2万3千人)は、広島県東北部の神石高原を源流とする成羽川を支流とした高梁川から農業用水を大量に引き込み、マスカットぶどうや花の施設園芸などが盛んな地域である。

−U-ネット本部が浄化活動を支援−
 地元では、船穂町農業公社によるEM生ごみ堆肥化プラントが実績を上げており、EM技術活用による溜川の浄化も検討していたが、長引く経済不況の影響もあり停滞していた。こうした中、同浄化活動メンバーの土井博義さん(U-ネット運営委員、岡山県世話人)からU-ネット本部に相談があり、平成20年からEM培養装置(百倍利器)をU-ネットが無償提供し溜川の浄化活動を支援している。

浄化活動が進められている溜川
浄化活動が進められている溜川

−地場の特産品づくりと河川浄化の連結−
 溜川の水質浄化活動では、EM二次活性液の培養やEM団子作りを市民ボランティア活動としてのみ進めるのではなく、有機特産品づくり等地場産業でのEM活用と連結させ、本業でのEM活用を進めながら、徐々に河川浄化活動を拡大させる方式を採用している。これは、「河川浄化活動が参加団体や個人への費用や作業面での大きな負担にならないように」との配慮から採用された方策である(土井さん談)。
NPO「21世紀の環境づくりを進める会」の作業場:子供や親たちの交流の場として活用されている
NPO「21世紀の環境づくりを進める会」の作業場:
子供や親たちの交流の場として活用されている
 既に4基の1トンタンク(二次培養装置)が有機栽培を目指す施設園芸ハウスに配置され、平成21年度中には10基程度に拡大し、本格的な稼動を開始したい(同)としている。また、新倉敷駅に隣接する作陽音楽大学の校庭池(約300平方メートル)の水質の浄化にも取組んでいる。

−岡山市内ではうどん店がEM活用−
 岡山市中央の味で有名な“手打ちうどんの名玄”(平井芳和オーナー、U-ネット会員)では「店で使う全ての食材を無農薬に」と、同店で排出される米の研ぎ汁をEM発酵させ、米ぬかはEMぼかしにして農地に還元している。
 今後は、残飯や排液を全て一気にEM処理して契約農家の農地に還元し、ネギ・タマネギ・キャベツ・ナス・ニンジン・ カボチャ等できるところから徐々に無農薬EM栽培に切り替える計画(同オーナー談)との事。実行力のあるオーナーだけに、岡山市内の事業仲間やライオンズクラブメンバーへのEM活用拡大が期待されている。

−倉敷市では学校プールでもEM活用−
 倉敷市の玉島・船穂地区では、長年有機マスカットの栽培に取組んでいる佐々木博一さんを中心に、小・中学校プールでのEM活用による清掃活動が進められている。平成20年にはEM二次活性液2トンを数校に提供し好評を得ている(土井さん談)という。
 因みに、佐々木さんは土井博義さんのEM活動パートナー。
食材の完全無農薬化を目指す:オーナー自ら米の研ぎ汁醗酵液やEMぼかしを作っている。平井オーナー(右)
食材の完全無農薬化を目指す:
オーナー自ら米の研ぎ汁醗酵液やEMぼかしを作っている。
平井オーナー(右)



千葉県銚子市と茨城県鹿行地域で進展するEMによる河川浄化と安全安心の農産物
  茨城県の東南部、鹿行(ろっこう)地域の神栖市と鉾田市、千葉県銚子市で成果を上げている河川浄化事業や安全安心な農産物をEM栽培で定評あるU-ネット茨城県世話人の池田皖字(きよし)氏の案内で訪ねた。

−子供が判る美味しくて安全なEM栽培作物−
 主にメロンとピーマンをEM栽培する茂木孝一氏ご夫婦を神栖市の池田産業(代表 池田皖字氏)内で取材した。7年前からメロン栽培にEMを使用し幼苗の時だけ最低限の消毒はするが、それ以外は無農薬で安全安心を図っている。EM米ぬかボカシペレットを土壌にすきこみ、苗には定期的に池田産業特製のEM活性液を使用して食味の向上と収量の安定確保を図っている。EM栽培メロンの特長は、食味や糖度のバラツキが少ないので安心して出荷できることだそうだ。
 ピーマン栽培にもこのペレットとEM活性液を使用しているが、EM栽培ピーマンの特長は、光沢がよく柔らかでしゃきしゃき感とほど良い甘みがあり、サラダで食べるとその特長が活かされ消費者に好評だ。収量も慣行栽培の2倍は確保できるという。
 茂木氏のお孫さんは「おじいちゃんのピーマン以外のピーマンは美味しくない」と他のピーマンは食べないという。子供は純粋で正直だから、かえって本当の味が判るのかもしれない。
Uネット茨城県世話人・池田皖字氏(中央)と茂木氏ご夫婦
Uネット茨城県世話人・池田皖字氏(中央)と
茂木氏ご夫婦

−美味しさは全国区 高安のEMいちご−
 全国的に美味しいと評判のいちご屋さんである神栖市の「ストロベリーハウス高安(高安秀子代表)」を訪ねた。その美味しさと無農薬有機栽培だから安全安心ゆえにテレビや雑誌などで何度も紹介されている。近隣のみならず全国各地から注文が入り、リピーターも多いという。
 このいちごは5月末で収穫を終了し、その後、新苗の植えつけ準備をする。高安氏はEM米ぬかボカシペレット等を入れてハウス栽培しているが、7〜8月の暑い時期の1ヶ月半、太陽消毒つまりハウスのビニールをはいで、土壌を直射日光で消毒している。
ストロベリーハウス高安の売店
ストロベリーハウス高安の売店
 この期間、いちごの栽培床は太陽の恵みをたっぷり受け徹底的に浄化される。その栽培床の土壌に更にEM米ぬかボカシペレットをすきこんで小苗を植え込み、定期的にEM活性液を使用して美味しさの維持向上と収量の安定確保を図っている。

−行政が主導する銚子市小畑川・赤池川の河川浄化活動−
 銚子市中心部から南西方向に位置する延長約3キロの小畑川・赤池川は、灌漑用池に源を発し幾つかの小河川と交わり銚子マリーナ近くの海に流れ込んでいる。この川を浄化するきっかけは県や市に銚子市民や観光客から川や河口の海で悪臭の苦情があったことで、行政からEMでの対策についてEM研究機構を通じ池田皖字氏に依頼があって技術指導している。
 EM活性液が高品質かつ高効率にできる百倍利器は千葉県が購入し、操作は銚子市が担当している。川沿い5箇所に設置してある500リットルタンクからの点滴業務とEMだんごを作っての投入は銚子市のボランティアの皆さんが実施している。
   昨年7月から週1回のペースでEM活性液を川に投入しているが、成果として、悪臭は軽減してきてヘドロも減ってきている。
 池田氏は「これをきっかけに銚子市全体の浄化につながるように願っています」と抱負を語った。 
小畑川・赤池川に設置された500リットルタンクと池田皖字氏
小畑川・赤池川に設置された
500リットルタンクと池田皖字氏

−環境意識の高い民間企業との協働で更なる推進鉾田川の河川浄化−
 茨城県鉾田市は、北に涸沼、西は北浦という大きな湖に接し、東は太平洋に位置している。水に恵まれ平坦な地形を活かした農業は、水稲と野菜が主であり、特にメロン・牛蒡・水菜は日本一の出荷額を誇る。
 北浦に流れ込む一級河川である鉾田川の浄化活動は、西台虹の友(代表 市村はつゑ氏)が市内各種団体と協働で進めてきている(U-ネット通信2006年11月号参照)。
  その効果を更に高めるため、昨年10月から鉾田川につながるJAかしまなだの野菜直売所「なだろう」の浄化施設を活用しての浄化作戦も展開し始めた。この直売所敷地の一部に1トンタンクを2基設置し、これで二次培養されたEM活性液は、ここの浄化施設と排水路を清掃しながら鉾田川に流れ込み鉾田川ばかりか、河口の北浦もきれいにしている。
JAかしまなだ売店「なだろう」に設置されたEM活性液培養タンクと西台虹の友代表市村はつゑさん
JAかしまなだ売店「なだろう」に設置された
EM活性液培養タンクと西台虹の友代表市村はつゑさん

 この環境活動には環境意識の高い民間企業の協力がある。JAかしまなだ「なだろう」からは敷地、「お菓子の中城」からは米のとぎ汁、「パルシステム」からは助成金、「霞ヶ浦をきれいにする会」からはEM1号と糖蜜などの供与をいただいている。これの管理運営は「西台虹の友」が行っている。



川の浄化、桜守の活動、クスノキの樹勢回復
〜葛川の浄化から始まり、ますます深まるEMによる地域の環境改善活動〜
 神奈川県の西部、中郡二宮町を流れる葛川のEMによる浄化活動は、平成15年から本格スタートし、6年が経過(活動状況については、平成16年と18年の二度報告)。その後、土手に植えられている107本の桜の健やかな成育を願って、桜守の活動も行われるようになり、これも3年が経過した シラサギの大群 。写真のシラサギの大群は、今年1月20日に、「地域の環境を良くする会」の会員が家の前の葛川で撮影したもの。会員の方々の努力によって、悪臭とヘドロの川であった葛川からヘドロが消え、たくさんの魚が泳ぎ回るようになり、さらに、餌となる生き物を求めて、鳥たちも集まるようになってきたのである。

−休むのは正月だけ、「地域の環境を良くする会」の活動−
 このような成果を上げている「地域の環境を良くする会」は、現在会員が12名。毎週水曜日の午前9時に、秋沢牧場(牛を十数頭飼育。ここに、百倍利器1台と1トンタンク5基を設置させていただいている)に集合。皆さん手分けして、百倍利器で製造したEM活性液をペットボトルに詰め、各家庭に配達するための準備を行ない、さらに、1トンタンクで二次培養したEM活性液約700リットルを、葛川と梅沢川の決まった場所、三箇所から投入している。
長谷川世話人(左から二人目)と地域の環境を良くする会の皆さん
長谷川世話人(後列左から二人目)
と地域の環境を良くする会の皆さん
 これらの活動は、二宮町役場の理解と協力はもちろん、多くの市民の理解も得ている。そのためもあり、家庭でEMを活用する人も多く、ペットボトルに詰めたEM活性液の配達は、会の活動の貴重な収入源となっている。

−毎月1回、10ヶ月かけて行なう桜守の活動−
 桜を守る桜守の活動は、毎月1回実施。10本前後の桜の幹に、EM活性液で溶いたEMセラミックスを刷毛で塗り、その後、EM活性液を散布していく作業である。EMセラミックスを塗ったり、EM活性液を散布するのは、桜の幹の下方の部分だけであるが、すべて手作業なので、1回あたり10本程度で止めている。
刷毛でEMセラミックスを塗り、その後、EM活性液を散布
刷毛でEMセラミックスを塗り、
その後、EM活性液を散布
葛川の土手の桜は、全部で107本あるので、作業が終了するまでに10ヶ月かかることになる。気長な作業であるが、ケムシの苦情が役場に行かなくなるなど、成果が上がってきているので、あせらず、着実に進めていくことが、皆さんのモットーである。なお、長谷川世話人は、樹木医でもあるので、様々な実験や観察を行なっている。
 桜の木の根元に発生していたキノコ(ベッコウダケ)の変化や、EM散布によって益虫が増え、それが桜についていた害虫を食べる様子、また、弱った2本の桜での実験であるが、布カバーで覆った部分の幹から出た、新しい根の成長の様子など、写真も見ながら楽しそうに話してくれた。

−樹木医仲間のNPO法人で始めた 小学校校庭のクスノキの樹勢回復−
 長谷川世話人は、県内の樹木医の有志が集まって出来たNPO法人「自然への奉仕者・樹木医協力会」に所属している。このNPO法人に、南足柄市の岡本小学校から、校庭のクスノキ(日露戦争の戦勝記念に植えられた)の樹勢回復の依頼があり、昨年行った数種の実験の結果から、最終的に、EM資材を使って発根促進させ、樹勢回復を図ることに決定した。2月28日、岡本小学校の先生とPTAの方々7名、それに、県内の樹木医仲間6名の計13名が集まって、作業を行なった。それは、クスノキの周囲10箇所に、深さ1メートルほどの穴を掘り、そこにEMセラミックス、EMペレット、腐葉土、砕いた竹炭を混ぜて入れ、最後に、竹筒を通して、上からEM活性液と水を注いでいくというものである。
 校長先生は、昨年の実験と、今回の穴掘り作業で、硬く固まっていた土が軟らかく、また、発根が促進されていることを実感され、驚くとともにとても喜んでおられた。100年以上の歴史を持つ、貴重な大木である。樹木医の方々は、詳細なデータを取るとともに、すぐに結果を求めるのではなく、クスノキの反応を見ながら継続して作業を進め、樹勢回復を図っていくことにしている。
クスノキの樹勢回復を目指す樹木医、小学校の先生とPTAの方々
クスノキの樹勢回復を目指す樹木医、
小学校の先生とPTAの方々


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